樹木の治療 ~樹木よ、よみがえれ!!~
以下は、以前当社が施した樹齢80年になる吉野桜の病気治療のレポートです。
今回治療することとなった樹木は樹齢およそ80年、高さ20m、太さ3m、総重量約3tの吉野桜で、ここ数年枝の衰弱が目立ち、花芽もつかなくなっていました。お客様よりご依頼をいただき診断の結果、ベッコウ菌に侵されていることが判明しました。ベッコウ菌とは、生立木の根株を侵す材質腐朽病であり、このままではこの樹木はかなりの確率で枯れることが判りました。そこで我々は、なんとかこの桜を救いたいというお客様の気持ちに応えるべく、以下のような施工を行いました。
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初めに、菌に侵されている根の状況を把握し、これから処置を行うためのスペースを確保するため、樹木の根の周りを掘り下げます。上記の“わら”は、樹木細根を乾燥させない為に施しているものです。
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次に、実際に菌に侵されている根の除去作業を行います。特に樹木の真下になる、直根部分に多くの菌がみられ、それらを丹念に除去していきました。上記写真は、除去した後の直根の断面を下から撮影したものです。
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菌に侵された根を除去・その切り口の殺菌消毒を行い、残りのわずかな健全根については、形成層をえぐり発根剤を噴霧する等の根の成長を促進する為の養生処理をした後に、肥料を含んだ土で埋め戻します。また、写真ではよく見えないのですが、根の周りにパイプ(灰色)を設置し、そのパイプを通じて適時地上より直接患部へと殺菌剤・ベッコウ菌を食べるバクテリアを送り込むことができるようにしておきました。
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ベッコウ菌に侵された根を除去した為、支持根を失った樹木を安定させるための支柱を掛けておきます。
お客様の樹木に対する愛情の下、治療の甲斐もあり、この桜は数年後にきれいな花を咲かせました。そして、今度は、その立派な花が鑑賞する人々の心をいやしてくれています。